【3月11日が、誕生日・命日の作家・文学者】

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【3月11日が、誕生日・命日の作家・文学者】

昔の人になれば歳は旧暦の正月に1歳ふえて、さらに生れた年が1歳で正月に一斉に祝い、これを数え年といいます。まして短命だった前回の橋本左内など誕生日はあまり注意が向きません。

今回も江戸後期の人で、館柳湾〔たちりゅうわん〕という漢詩人です。宝暦12年(*1762年)3月11日生れで役人としても有能で退官した後に商業的にも成功した職業詩人ともいえます。明治維新後しばらく忘れられていたのを作家、永井荷風が再評価しまた知られるようになったそうです。

たまたま手元に本があったのでページをめくったら、珍しく自ら80歳の誕生日を祝っている七言律詩「八十傁館機自題」があったので掲載します。本来縦書きのものを横表記にするのをためらい工夫してタテに読めるよう配列しました。

唫 閑 百 半 鶴 煙 誤 楊
臥 身 年 世 氅 蓑 辞 柳
山 猶 伎 埃 鳥 雨 江 湾
園 寄 倆 塵 巾 笠 海 頭
養 残 一 孤 豈 空 走 旧
病 風 嚢 榻 称 抛 天 釣
衰 月 詩 夢 宜 擲 涯 師

・・・
楊柳の生えている湾のほとりで嘗て釣に親しんできた私は、まちがって水辺の里を離れて遥か遠い江戸にやって来た。けぶった雨のなかを蓑笠を着けてのんびり釣していた境涯をむなしくほうり投げたが、かといって、風流な文人の服装をしてすましこんでいるのはどうして私に似合おうか、似合わなかったのだ。前半生を役人として俗塵にまみれてきたが、それも長椅子で回顧する過去の夢となり、一生を詩作に頭を働かせてやっと一袋分の作品ができた。ひまになった身の余生をなおも風流に托して、田舎の庭でゆったりと詩を作り病残の体を養うことにしよう。

目白台にあった家で天保15年4月13日に亡くなりました。享年83歳でした。

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/09/5/0915970.html

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